治療院などではたまに胸の辺りが痛むという相談を受けることがあります。
胸には心臓や肺など生命に直結するような臓器が多いので胸の痛みは敏感になり不安になる方が多いです。
しかし、実際に心臓に異常がある場合は「刺されるような痛み」などハッキリした痛みがないことが多いです。
今回は胸の痛みについて解説します。
表面の痛み
胸周りの皮膚や筋肉、骨などに刺激が入り痛みが出てきます。
皮膚周りは特に痛む場所がはっきりしていて指で示せます。
筋肉や骨などは皮膚よりは痛む場所がハッキリはしません。これらは命に関わるようなことは少ないのですが、骨からの痛みは癌の転移の可能性もあるのでそこは注意が必要です。
内臓からの痛み
内臓が傷害されることで生じる痛みです。
内臓痛は内臓自身から起こる痛みで、臓器は切られたりなどの障害では痛みを感じません。
内臓痛は内臓が急激に拡張するなどの強い伸長や血行不良などで代謝産物が蓄積し、自律神経を介して起こります。
この痛みは鈍い痛みで痛む部位がはっきりしない漠然とした痛みで、痛みを感じられない場合もあります。
内臓からの関連痛として、自律神経を介して胃・腸管、肝臓、膵臓、脾臓などは胸の痛みとして出ることがあります。
横隔膜などは脊髄神経を介して胸の痛みとして出ることがあります。
肋間神経痛などの痛み
肋間神経痛という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。
肋間神経痛は肋骨骨折や外傷などによる圧迫や刺激、胸膜炎などによって起こります。
しかし、診断のつかない原因不明の痛みを肋間神経痛と呼ぶこともあります。
肋間神経痛以外の神経痛として脊髄神経由来の分節性神経痛、頚部から起こる頚腕神経痛、脳から脊髄などの障害から起こる中枢痛などがあります。
中枢痛は脳血管障害の後遺症や脊髄腫瘍などが原因で起こります。
胸の痛みだけでなく発熱や頭痛なども起こるので胸の痛み以外にも症状が出ていないか確認する必要があります。
・心臓などに異常のある内臓痛は痛む部位がハッキリしない
・痛む部位がハッキリするのは表面の痛みが多い
・内臓痛は痛みを感じないこともある
・肋間神経痛は原因不明の痛みでも呼ばれることがある